暗号資産 投資

バイナンスコインとは

 バイナンスコイン（Binance Coin、略称BNB）は、世界最大級の暗号資産取引所「Binance（バイナンス）」が発行した暗号資産である。もともとは取引手数料の割引を目的として誕生したが、現在では多様なユースケースを持つエコシステムの中核通貨として進化している。

発行の背景と目的

BNBは2017年、バイナンス取引所の資金調達およびプラットフォーム内でのユーティリティを目的として発行された。当初はイーサリアム上のERC-20トークンとして存在していたが、後に独自のブロックチェーン「Binance Chain」、さらにスマートコントラクト対応の「Binance Smart Chain（現BNB Smart Chain）」へと移行している。この独自チェーンへの移行により、BNBは単なる取引所トークンから、分散型アプリケーション（DApp）を支える基盤資産へと変貌を遂げた。

技術的特徴

BNB Smart Chain（BSC）は、高速で低コストなトランザクションを実現するため、**Proof of Staked Authority（PoSA）**という独自の合意アルゴリズムを採用している。これは、ステーキングとバリデータ選出を組み合わせた方式で、従来のProof of Stakeに比べてブロック生成が速く、ネットワークのスループットが高い点が特徴だ。

この設計により、BNBチェーン上ではDeFi（分散型金融）、NFTマーケットプレイス、ゲームなど、さまざまなWeb3アプリケーションが動作している。また、イーサリアムとの高い互換性を維持しており、開発者は既存のSolidityコードをほぼそのまま移植できる。

トークンエコノミクスとバーン機構

BNBは発行上限を2億枚とし、定期的にトークンを「バーン（焼却）」する仕組みを導入している。これは、取引所収益やネットワーク手数料の一部を用いてBNBを買い戻し、消却することで、流通量を徐々に減らしていく仕組みである。
この自動バーンシステムはBNBの希少性を高め、長期的な価値安定を意図した設計となっている。

主な利用用途

BNBの主な利用用途は以下の通りである。

• 取引手数料の支払い：Binance取引所での手数料をBNBで支払うと割引が適用される。

• BNB Chain上のガス代：スマートコントラクトの実行やトランザクション手数料の支払いに使用。

• DeFi・NFTプラットフォームでの活用：ステーキング、流動性提供、NFT購入などに利用可能。

• 支払い・決済手段：一部の加盟店やオンラインサービスでBNBによる決済がサポートされている。

まとめ

バイナンスコインは、取引所トークンとして始まりながらも、現在ではブロックチェーン・エコシステム全体を支える基軸通貨へと進化した。高速で低コストなトランザクション性能、PoSAによるスケーラビリティ、そして継続的なバーン機構を通じて、BNBは独自の経済圏を拡大し続けている。
取引所発のトークンとしての枠を超え、BNBはWeb3時代の基盤通貨の一つとして確固たる地位を築きつつある。